もはや塩分制限をしているとは思えない日々 その壱
旅行記 / 2019.06.01
年に一度、実家に帰省している。
私が大病に見舞われる1年前まで大阪市内に住んでいた両親は、第三の人生を楽しむべく徳島県は鳴門市へと移住した。鳴門市は元々母親が生まれ育った場所であった為、移住地として最終候補まで残り決定に至った。
私も「おばあちゃんち」として鳴門には子供の頃から何度も訪れていたし好きな場所ではある。愛着も結構持っている。
しかし、東京からある程度の荷物を抱えて新幹線と高速バスを乗り継いでいく場所は厄介である。基本的に重い荷物を持つのは控えた方がいい病にも関わらず、ちょっと頭悪いのかなー?と聞かれそうな重さの荷物を抱えて単身移動していると、自宅から東京駅に向かった時点で 最初の限界を迎えている。
新幹線の中で2時間半休憩し、ある程度回復したところで再び重い荷物と共に新大阪駅から大阪駅へ移り、バタバタと過ごす羽目になり、またバスの中で2時間程度休憩することになる。
新幹線だけで終わったら楽でいいのにな…と思わなくもないが、こればかりは両親の人生なので私がとやかく云う事ではない。甘んじて受け入れる他ない。
飛行機なら楽じゃない?と思う人もいるかもしれないが、診断書を用意したり「阿波踊り空港」なんて厄介な名前の空港から鳴門の自宅までの移動を考えると、飛行機移動の方が過酷である。
実家に帰ると、若かったあの頃の好物や頑健な胃だった頃に食べていた料理が無邪気に出てきて振舞われる経験をしている人もいると思うが、我が家も勿論その部類に属していて、帰省の度に随分と格闘してきた。ストップって云わないと次から次へと料理が出てくる店のように何かが出てくる事があったりリクエストしないと予想の斜め上の料理が用意されていたり、単純にとても量が多かったり。
今年の帰省は約1週間の滞在なのだが、初日から仕掛けてこられた。
我が家での食事は基本的に全て父親が担当している。彼は大阪にいた頃ずっと料理人として働いていた。大好きな女房に美味しいご飯を!をスローガンに生きてきているような男だから、仕事としてだけでなく、自宅でも作ってきた。
数年前までは不特定多数に向けて注がれていた情熱は、今や身内に向けての集中攻撃にとどまっている為か、年に一度の帰省では、つまり、えらい目にあう。
私は一応塩分制限を言い渡されているのだ。日々、それを守り過ごしている。ピッツァ鮨カツ丼の時だけ何かが弾け飛んで「そんなもん知るかー!」となるだけで、普段は1日の塩分摂取量は5gを超えない日の方が多い。
それが、初日からこれである。
そして、これである。
うどんすきは確かにリクエストした。私がその原因を作った。それは解っている。父親が少量を用意する事が出来ない、量が少ないなんてダメだろう!と思う人間であることも重々承知してのリクエストではあった。もしかしたら初日からトップスピードで攻めてくるかもしれない、そんな予想もしてはいた。
まぁ、だから、仕方がない。
誰も悪くはない、ただどちらかに非があるとすれば父親ではなく私である。彼はもてなし、喜ばせたい一心なのだ。
俺の料理を食べる人間は全てゲストでありホスピタリティは常にアクセル全開!そういう男である。
1週間、闘い抜けるだろうか。心配でならない。
ちなみに、3日目の夕飯がこれであった。
鯖の塩焼きと聞かされ、出された鯖の干物。これだけなら、まぁギリ驚かない。干物は塩分高いんだよ、なんて伝わらない。知ってはいるだろうけど、伝わらない。
この鯖を出された時に「次、焼いてますからねぇ」と優しい笑顔で言われた。「次」とは勿論2尾目、食べるのは私。
「食べれるやろー?」
またしても余裕の笑み。一瞬、この人は私のことをゆっくり殺していくつもりなのかと勘繰ってしまった。悪魔の所業のようにも取れる態度は全て「喜ばせたい!」だけで出来ているから圧倒的にタチが悪い。
負けない。
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