クイニアマンと共に / 2019.02.22

クロワッサンと同じ折込み式の生地にたっぷりとグラニュー糖を纏わせ、セルクルにはめ込んで焼き上げる。表面に付けたグラニュー糖は溶けパリッと飴状へと変化し、一口噛めばバターの香りが口いっぱいに広がるジューシーで甘美な食べ物。

いつからだろう、気付けば随分前からクイニアマンがとても好きだった。ざっと考えても15年以上前から。いつも心の何処かで焦がれている。ブルターニュ語で”バターのお菓子”、クイニアマン。我が愛しのクイニアマン。

どれ程好きだと云っても、実のところ想ってばかりで食べている数は気持ちに比例する事なく少なかったりする。特別に想い過ぎて、つい勿体ぶって手が出せていない、なんだか思春期の恋のようで、さすがに少し気持ちが悪い。想ってばかりではどうにもならない、最高の”バターのお菓子”に出逢うため、触れ・知り・広げていきたい。

つまりは色んな店のクイニアマンを食べていこうと思っている。うっかり迷い込んだ貴方、どうぞよろしく。

LE BIHAN - 新宿小田急店

20代前半まで大阪に住んでいた。子供の頃から”ちょっとした外出”の時、帰りすがら翌朝食べるパンを買う店として阪神百貨店にあるLE BIHANはよく利用していた。とても馴染み深い、思い出のあるパン屋で、しかしながら東京にも店舗があると知ったのは、ここ数年の話（知って以降、小田急百貨店の株は急上昇）。

何が一番好きか、何をよく食べていたのか、その辺の事は殆ど思い出せないけれど、此処でパンを選んで買うのがとても楽しみだったというのは強く心に残っている。もちろん翌朝どれから食べようかと、悩みながら食べていったことも。

この店の何がいいって、この店を作ったのが”ブルターニュのおじさん”であるという所。バカみたいだが、とても大切な事だ。大雑把にニュアンスでしか此処には記載していないので「詳しくはWEBで」という感じだが悉くブルターニュ菓子が好きなものだから、それだけで好印象・好感度UPという感じだ。

さて。焦げないようアルミホイルに軽く挟んでオーブントースターで2〜3分。さぁ食べましょう。

とてもベーシックな形で、表面のグラニュー糖は少なめというよりは程よい量。大きな粒が残っているところを見ると、ザラメを使っているのだろう。ザラメだけなのか併用なのか、解らないけれど。

美味しい。まぁ、美味しいですよ。一口食べて感じるのは懐かしさ。きっとクイニアマンも大阪に住んでいた頃に食べているが、だから懐かしいというよりは、この店のパン生地への懐かしさ。ただの思い出というか懐古主義的というか、しかしそういうものが浮かんでしまったのだから仕方がない。

強い個性は感じられないがバランスの取れた美味しさ、しっかりとした噛み応え。味としては優しく食べやすいものではあるが、少しイーストの匂いが気になるところ。もっとしっかりリベイクした方が良いのかもしれない。バターも甘さも程よく、普段使いのLE BIHAN。

LE BIHAN 公式　http://www.lebihan.jp/

食べログ　https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13057756/

BISCUITERIE BRETONNNE - 新宿小田急店

もう名前から美味しそうな此処は、ブーランジェリーではなくビスキュイテリエ。焼き菓子専門店ということらしく、ラインナップが魅力的で取り敢えず全部食べなければなりませんか食べますか、と思わせる悪い店だ。此処のスペシャリテはガトーナンテ、季節限定も合わせて常に数種類が売られている。なんて悪い店だ。

この店は他に大阪は阪急梅田本店と東武池袋店に入っていて、初めての購入は阪急梅田での事だった。その時は別のものを買ったので、クイニアマンは初めて食べる事になる。

上にキャラメルが乗った見るからにエネルギー溢れる一品、キャラメルが乗ってるのは新宿小田急店の限定だと書かれていたような。こちらも軽くリベイクしていただきましょう！

噛んだ瞬間口の中に広がっていくバターに感嘆たる想い、とてもジューシーで生地が美味しい。嗚呼、バターのお菓子を食べているんだな…と思わせてくれる程豊富なバターの香りは鼻から抜けていくその余韻までが名残惜しく美味しい。焼き菓子が主体の店だというのがよく解る、しっかりとした甘さ。今まで食べた中では一番好みだ。とても解りやすく、バター菓子を体現している。

ただ一つ、キャラメルはちょっと過剰な気がする。

BISCUITERIE BRETONNNE 公式　https://www.bretonne-bis.com/

ヴィエノワズリ新宿