パン・オ・レザンと共に / 2019.02.25

机の上に置いている瓶の中にはレーズンが入っていた。干されてしわしわになり、甘みと旨みがぎゅっと凝縮された濃い色の粒。そう、レーズン。食べては補充し、また食べては補充する。”なんだって食べすぎは良くない ”という言葉が一切身体の中に浸透していかず、お腹が空いたらレーズン。そんなことばかり繰り返していた頃があった。また気付くと始まってしまいそうで、それ以降レーズンは買っていない。

少しばかり病んでるかのような始まりに一抹の気持ち悪さを感じながら…要するにレーズンが好きなのだ。好きだから、あまり食べていない、、何処かで最近見たことのあるセリフ。もう、一体何処の不器用だ。

ヴィエノワズリのTOP3に入ってるんじゃないかと勝手に思っているパン・オ・レザン。その美しいフォルム、愛さずにはいられない。なんなら一緒に巻かれてしまいたい。

そう、つまりは好きなんだから食べていこうじゃない。冷静になって向き合おうじゃない、という。

Truffle BAKERY　門前仲町店

持っただけで指はバターになってしまう。いや、そんな事にはならない事は解っているが、それほどバターが贅沢に使われていると思わせる、生地。なのに、だからか、とても儚い生地。

触れたそばから指先をすり抜け零れ落ちていく生地は、口に含んだ瞬間から全てをバターの香りで包んでいく。とても美味しい生地で、噛む毎にバターが中から溢れてくるような美味しさ。鼻に抜けるバター、なんという生地。

しかし、それだけで終わるわけがなくレーズン様の登場だ。レーズンが巻き込まれた場所を一口食べれば全てがレーズンになる、驚きの強さ。まさかのレーズン一色、見た目からは想像が付きにくい程レーズンの全面勝利。

渦の内側に進んでいくと、生地に塗られているクリームも中心に進むごとに顔を出しパン・オ・レザンとして非常にバランスの取れた味わいに変わっていき、この店の美味さに酔いしれる事が出来る。

とても力強い味わいで、1個食べれば満腹になってしまうかもしれない。

ベーカリーヴィエノワズリ門前仲町