大阪で、あの頃食べたタコ焼きに想いを馳せる その壱
外食-美味しい食事の色々 / 2019.06.03
徳島へ向かう中継地点が大阪である。この土地に23年間住んでいた。
住んでいたとは思えないほど、私の大阪に対しての態度は冷めている。大阪に対して好印象を抱いている人が周りには何人もいるが、あれはなんなんだろうかと毎度不思議に思う。人の嗜好とは千差万別だと痛感せずにはいられない。
しかし、どれだけ冷ややかな態度を見せたとしても23年間育った場所は、私の胃袋の記憶を最近ふとした時に引っ張り出してくるものがある。それが表題の通り、たこ焼きだ。
私は大阪で23年間生活しておきながら、美味しいたこ焼き屋といえば?なんて質問されても一切答えられないくらい、たこ焼きとはあまり接してこなかった。今でこそ人様に振る舞いたこ焼きをするが、それも周りに熱烈なたこ焼き好きが存在しているからであり、折角だから美味しいのを目指そうと思うだけで、たこ焼きがソールフード!とは思っていない。
なのに何故、たこ焼きなのか。
それは幼少期、ちょうど幼稚園に通ってた頃まで遡る。
我が家の父親は前述した通り料理人で、そういう職業の人は大抵「美味しいものを食べるのも仕事」であることが殆どだろう。父親も当然昔からそうだった。だから美味しいものもよく知っているし、お土産で持って帰ってくる品はそれなりに自慢の美味しさを誇る何かだ。
とは云え、お土産を持って帰ってくることはそれほど頻繁ではなかった。頻繁でなかったが、何かお土産を持って帰ってきたと思えば、大体高確率でたこ焼きだった。
私はそれを嬉々として受け止め、夜も遅いのにまだ温かいたこ焼きをなんとも言えぬ官能さと背徳感を持って食べていた。まだまだ生まれたての4、5歳児が。
その、たこ焼きの記憶が、張り付いて、離れない。
もう事あるごとに蘇っては私の味覚を司る全てを支配し始める。あれはどこの店だったのか。
たこ焼きにはソースも何も塗られていない、いわば生地で勝負するタイプのものだった。出汁がしっかり効いたものだったが、特筆すべきは紅生姜だろう。決して多すぎる事なく、しかし主張はきっちりとするくらいには入っていた。薬味やポイント的な役割ではなく、味を組み立てる主役クラスと思えるほどしっかりと。他店と比べるとその量は決して少なくなかったと想像できる。これが出汁と相まって抜群の美味さを発揮するのだ。
そして、美味しさを放つたこ焼きは持ち帰り用の紙で出来た入れ物に入っているのだが、箱の外側はサーモンピンクだったと記憶している。四角いサーモンピンクの箱、中は銀色だった。
一度、記憶の中のたこ焼きに近いものを作れた時があった。その時は出来上がりを一口食べただけで琴線に触れたかのような感覚に包まれ思わず泣きそうになった。
しかし、毎度なんとなく目分量で生地作りに挑んでいるから当然どんな配合だったか解らずあの衝撃はそれ以降私の目の前にまだ現れていない。
冒険の入り口
色々とたこ焼き屋について探りを入れてみると、候補は一先ず3箇所上がってきた。今回はその中の2店舗に行ってみようと思う。
候補としてあげるにあたり出した条件は、1)ソースをかけない、2)30年以上続いている店、この2点である。今回はじっくり滞在するわけではないし、メインはピッツァを食べることだから、一度に全部食べるなんて無謀なことはしない。塩分も危ういだろうし。
なので、食べる店は"会津屋"と"たこ八"の2箇所となった。
まずは会津屋へ
しんおーさかーー!
東京からのぞみに乗って約2時間半、中継地点の大阪に到着。新大阪から大阪駅に向かうが人の多さにぞっとする事数回。大阪ってこんなに人多かったっけ…?天気の良い日曜日だからっていくらなんでも多すぎではないだろうか。いつからこんな事に?元々?うそでしょ?そんな事を思いながら、人でごった返す中それを掻き分けるようにして到着したのが会津屋。
大阪でオススメするたこ焼き2大巨塔の1つとして君臨している店である。ちなみに、もう1つは「わなか」だそうな。もちろん私個人のオススメではない、ガイドブックさまの情報より提供されたものである。
到着したのが丁度お昼時だった為か人気店だから絶えずそうなのか、お店の外まで列が出来ていた。しかし、これは店内で食べる為に待ってる人々らしくテイクアウトはこの限りではなかった。
小ぶりのたこ焼きが12個入りで550円。
テイクアウトで12個入りをお願いした。
目の前で次から次へと丸く丸く焼かれていくたこ焼き達。焼き始めたところを観察していると、ちょっとした違和感があった。何か物足りなさを感じるような。そして、その違和感の原因はすぐに判明した。
出来上がりを受け取り、何処か食べられる場所を探し少し彷徨う。
よし、此処で食べようか!
まだ温かいたこ焼きと、待望のゴタイメーン。たこ焼きは高確率火傷料理だから、移動時間分出来たてから遠ざかっていたとしても油断ならない。最初の一口は慎重に…。
あぁ、これなら大丈夫。火傷は皆無だ。
最初の一口目で「ん?」と不思議な感覚に包まれた。何かが圧倒的に不足している、この物足りなさは二口目で理解できた。
出汁をしっかり効かせた生地と、中に入れる具材はタコだけのシンプル構造で一切の誤魔化しはございません!的な代物だった。そういう旨さを演出していた。
私が求めている紅生姜が一切入っていなかった。創業当時から美味しさを追求しつつ基本構造は変えていない、そういうお店なのだろう。シンプルでトラディッショナル、そういうことなんだろう。これはこれで美味しいと思う。
しかし、私の口は全力で紅生姜を受け止める体制が出来上がっていたから…求めてる味からは随分遠く、これじゃない感が凄かった。
次回、たこ八へ。どーなる、たこ焼きの記憶。
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